運営管理は工場での生産管理や小売店舗などの運営に必要な知識を学習する科目です。
暗記をする内容が非常に多い科目ですが、本記事では運営管理の出題の傾向を確認しつつ、おすすめの勉強法と時期別の勉強内容についてまとめていますので、初めて勉強を始める方には参考になります。
元銀行員で、現在はベンチャー企業で中小企業診断士の資格を活かしながらITツールを用いた業務効率化コンサルティングを行っています。
26歳で中小企業診断士2次試験に合格・登録。
<1次試験の成績>
・企業経営理論 60点
・財務会計 88点
・運営管理 52点
・経済学・経済政策 92点
・経営法務:60点
・経営情報システム:52点
・中小企業経営・政策: 78点
【合計得点】482点
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中小企業診断士 運営管理:試験内容と科目の特徴
運営管理の試験概要
科目 | 試験時間 | 配点 |
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
運営管理は中小企業の生産管理や小売業のオペレーション管理についての全般的な知識が問われる科目です。
中小企業診断士試験の1日目の日程で試験時間は90分、配点は100点となります。
また、運営管理の科目単体での合格ラインは60点となります。
運営管理の科目設置の目的
中小企業の経営において、工場や店舗における生産や販売に係る運営管理は大きな位置を占めており、また、近年の情報通信技術の進展により情報システムを活用した効率的な事業運営に係るコンサルティングニーズも高まっている。このため、生産に関わるオペレーションの管理や小売業・卸売業・サービス業のオペレーションの管理に関する全般的な知識について、以下の内容を中心に判定する。
※令和3年度中小企業診断士第1次試験案内より引用
製造業の方、工場勤務をしたことがある方や、小売業の方は現場のイメージを持ちながら勉強を進められるのではないでしょうか。
単なる暗記のみでは得点できる上限が決まってしまう科目になるので、現場をイメージしながら理論的に暗記をしていくことがおすすめの勉強の進め方になります。
運営管理の出題範囲
出題範囲 | 出題内容の一例 |
生産管理 | ・生産形態(受注生産/見込生産の違い)の知識 ・工場のレイアウトや製品開発/設計、生産技術の基礎知識 ・生産オペレーションの管理に関する知識等 |
店舗の販売管理 | ・店舗に関する法律知識(都市計画法、大規模小売店舗立地法等) ・商品在庫管理(発注管理等) ・店舗システム(POSシステムや顧客管理システム)や物流システム(RFIDやバーコード管理)に関する知識 |
運営管理の出題範囲は大きく分けて上記の2項目になります。
生産管理の出題範囲
①生産管理概論
②生産のプランニング
③生産のオペレーション
④その他生産管理に関する事項※平成31年中小企業診断士第1次試験案内より
生産管理は、主に「生産のプランニング」や「工場のオペレーション」、「生産計画」について学習します。
工場に勤めていらっしゃる方であればイメージしやすいのですが、特に関わりのない業種で働かれている方にとってはイメージがしづらい範囲になります。
店舗・販売管理の出題範囲
①店舗・商業集積
②商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
③商品補充・物流
④流通情報システム
⑤その他店舗・販売管理に関する事項※平成31年中小企業診断士第1次試験案内より
店舗・販売管理では、マーチャンダイジング(商品仕入・販売)や物流、在庫管理(商品補充等)について学習します。
主に小売業(例えば、雑貨店やアパレル店)や卸売業、サービス業に関する学習になるので、生産管理と比較して勉強する際にイメージが湧きやすいです。
実際の問題された問題がどのような問題か見ていきましょう。
【問題】
令和3年 第12問
発注方式における発注点あるいは発注量の決定に関する記述として、最も適切な
ものはどれか。
ア ダブルビン方式における発注量として、発注点の 2 倍を用いた。
イ 定量発注方式における発注点として、調達期間中の平均的な払い出し量を用いた。
ウ 定量発注方式における発注量として、経済発注量を用いた。
エ 定期発注方式における発注量として、(発注間隔+調達期間)中の需要量の推定値に安全在庫を加えた量を用いた。【解答】ウ
【問題】
令和3年 第3問
生産現場におけるレイアウトのための分析手法に関する記述として、最も適切な
ものはどれか。
ア DI 分析では、横軸に製品、縦軸に生産量をとり、グラフを作成する。
イ SLP における相互関係図表は、アクティビティ間の立体的な大きさについて評価する。
ウ 流れ線図は、対象物の移動経路を工場配置図または機械配置図の上に、工程図記号を使って線図で記入し作成する。
エ フロムツウチャートは、列を機械設備、行を製品とし、セルに各設備の生産量を示して作成する。【解答】ウ
運営管理の合格率の推移と難易度
年度毎の合格率の推移
年度 | 合格率 |
H29年度 | 3.1% |
H30年度 | 25.8% |
R1年度 | 22.8% |
R2年度 | 9.4% |
R3年度 | 18.5% |
運営管理の合格率は年度によってかなり差があります。
合格率が一桁台の翌年には合格率が高めになる傾向があります。
▼下記の記事で全科目の過去8年分の合格率の推移をまとめています。

運営管理の難易度
運営管理の難易度は「高」です。
範囲が非常に広く、筆者が本試験を受験した際の感想としては6割~7割くらいまでの得点はある程度の勉強で到達できますが、それ以上の得点まで引き上げるにはかなりの勉強量が必要となる感覚でした。
暗記問題と計算問題が両方混ざるため、合格ラインに到達するまでにかかる時間は比較的長めであることを勉強スケジュールの立案タイミングから理解しておく必要があります。
運営管理の科目の特徴
特徴①:理論・暗記・計算の3つの要素がある
特徴②:問題数が非常に多い
運営管理は、理論科目でもあり暗記科目でもあり、計算問題もあります。
また、本試験では設問が40問~45問程度で、他の試験と比較して問題数が多いです。
2次試験の事例Ⅲとの関連性も深いため、企業経営理論・財務会計と同じく勉強時間は多めに確保し、2次試験を意識した対策をする必要があります。
運営管理の出題傾向と配点はどうなってる?
年度 | 生産管理 | 店舗・販売管理 |
H28年度 | 50点 | 50点 |
H29年度 | 46点% | 54点 |
H30年度 | 50点 | 50点 |
H28年度~H30年度の配点については上記の様になっています。
基本的には「生産管理:店舗・販売管理=50:50」と考えていただいて問題ないです。(H29は1問、生産管理と店舗・販売管理どちらともとれる問題を店舗販売管理に含めております)。
運営管理の合格までに必要な勉強時間は?
運営管理で科目合格を目指すために必要な勉強時間は130時間~150時間程度です。
運営管理は2次試験でも「事例3」の「生産や技術」に関するテーマで出題されますから、重点的に勉強を進めておきたい科目です。
なお、中小企業診断士1次試験は、科目合格できなくても受験科目全体で60%以上の得点ができれば合格となります。
そのため、運営管理が苦手だからといって、運営管理だけに時間をかけすぎて他の科目に時間を割けない状態にはならないように注意しながら勉強していきましょう。
中小企業診断士 運営管理の勉強法とコツ
運営管理の勉強法とコツ①:店舗・販売管理から学習を始める
運営管理の出題範囲は「生産管理」と「店舗・販売管理」の大きく2つありますが、生産管理は工場勤務や製造業の方以外には馴染みがない範囲になるので、最初は理解が難しい範囲となります。
一方、店舗・販売管理は比較的身近でイメージがしやすい内容となっているため、勉強のペースを掴みやすいです。
まずは店舗・販売管理から学習をスタートすることで効率よく勉強を進められるのでおすすめです。
運営管理の勉強法とコツ②:計算問題は紙で実際に手を動かしながら勉強する
運営管理では毎年44問~45問出題されますが、計算問題はそのうち6~7問出題されます。配点に換算すると、13点~15点になります。
計算問題は頭の中で演習を行うのではなく、実際にペンを手にとって公式を思い出しながら演習していきましょう。計算問題はまずは公式を暗記できているかが重要になりますが、暗記をできていると思っていても実際に計算を始めてみると、手が進まなかったりすることがあります。
このような状態では正答することができないため、自分の手で計算をして最終的な答えを導き出せるように繰り返し演習を進めていきましょう。
運営管理の時期別の勉強法まとめ
運営管理の勉強法:初期段階
運営管理の勉強の開始時期の目安は試験の前年11月~12月頃からスタートしておくのがベターです。
この時期の勉強では、まず初めに過去問1年分をざっと目を通しましょう。
どのような問題が出題されるのかという傾向を知ることが目的です。
その後は、テキストを読み進めつつ、問題演習を進めましょう。
この時期の問題演習は基礎的なトレーニング問題集と過去問がおすすめです。
運営管理の勉強法:仕上げ時期
試験のある年の4月頃には仕上げ時期に入っていきます。
この時期までには、5年分の過去問の演習を2~3周程度終えられている状態が好ましいです。
この時期になると全科目の勉強が一通り終わり、どの科目に対してどのような優先順位で取り組むかが重要になってきますね。
運営管理は暗記する内容が非常に多いため、1~2週間に1度は最低2時間は過去問の演習やトレーニング問題周に触れておくことが重要です。
2週間ほど運営管理の勉強をしないだけでも徐々に覚えた内容を忘れていってしまうため、全く勉強をしない時期を作らないようにしましょう。
運営管理の勉強法:試験直前期
試験直前の7月頃は試験直前期に入ります。
この時期では過去問は10年分は一通り解いた状態、かつ過去5年分は5周は終えておきたいところです。
7月・8月は新しい参考書には触れずに、今までやってきた問題集やテキストの最終確認を進めていく時期になります。
忘れてしまっている内容がないか、計算問題は自分の手で最後まで答えを導き出せるようになっているかの最終確認を行いましょう。
中小企業診断士 運営管理のおすすめテキストと過去問題集
運営管理のおすすめテキスト
おすすめのテキストはTACが出版しているスピードテキストです。
運営管理のおすすめの過去問題集
テキストと同じところが出版している過去問を利用するのがベターです。
また、分野別に知識を整理しながら勉強するには過去問と合わせて下記のスピード問題集を利用するのがおすすめです。
その他おすすめの参考図書
中小企業診断士のテキストは暗記する内容はしっかりまとまっていますが、易しい解説が少ないですよね。
そんなときには下記の本を参考に理解を深めるのがおすすめです。
運営管理が苦手な方は通信講座の活用も検討しよう
経営法務がどうしても苦手な方は通信講座の利用を検討するのも一案です。
・テキストや過去問だけで文字のみで勉強してもなかなか理解ができない
・通勤通学時間を活用して苦手科目を克服したい
上記のような方におすすめの、中小企業診断士の通信講座はスタディング(STUDYing)と診断士ゼミナールです。
どちらもスマホで動画講義が見れてスキマ時間を活用して勉強が可能です。
詳しい比較は下記の記事にまとめていますので参考にしてみてください。

なお、スタディングは1科目からでも受講できるので、弱点の補強に1科目だけで受講するというのが筆者のおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
運営管理はとにかく暗記する項目が多いので、終盤だけで追い込みは難しいので早い段階から一通りは目を通すように心がけましょう。
最初、生産管理から勉強を始めた方でつまづきそうになっている方は、一旦店舗・販売管理から始めてみるのはいかがでしょうか。
