「中小企業診断士試験の内容や特徴について教えてほしい」
「中小企業診断士試験って難関資格と聞くけど、実際合格するまでにはどれくらい勉強すればいいんだろう?
中小企業診断士をこれから学習しようと考えている方向けに、試験内容と特徴を解説していきます。
これまで多くの国家資格に挑戦。
保有資格は中小企業診断士、行政書士、宅地建物取引士、銀行業務検定各種2級など。
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中小企業診断士の試験内容
1次試験・2次試験の両方合格で初めて資格取得となる

中小企業診断士試験は1次試験(7科目多肢選択式)と2次試験(4科目論述式と口述試験)で構成されます。
1次2次の両方に合格することで初めて「中小企業診断士試験合格」となります。
1次試験は毎年8月に実施され(※2020年は7月)、2次試験の論述試験は10月に、そして口述試験は12月に実施されます。
2次試験の合格発表は12月下旬です。
1次試験7科目の内容について(多肢選択式)

科目名 | 試験時間 | |
1 | 企業経営理論 | 90分 |
2 | 財務・会計 | 60分 |
3 | 運営管理 | 90分 |
4 | 経済学・経済政策 | 60分 |
5 | 経営法務 | 60分 |
6 | 経営情報システム | 60分 |
7 | 中小企業経営・中小企業政策 | 90分 |
1次試験は上記の7科目で構成されています。
試験範囲が広いため、計画的に勉強に取り組む必要があります。
1科目100点満点×7科目=700点満点の試験になります。そして6割の420点以上を獲得できれば合格となります。
合格基準の中には足きりがあるため、苦手科目を作らずに試験当日を迎えられるかが鍵となる試験となっています。
各科目で出題される内容の概要は下記の通りです。
企業経営理論
☑経営戦略論
☑組織論
☑マーケティング
財務・会計
☑簿記の基礎
☑企業会計の基礎
☑経営分析
☑証券投資論
☑企業価値
運営管理
☑生産管理
☑店舗・販売管理
経済学・経済政策
☑ミクロ経済学
☑マクロ経済学
経営法務
☑民法
☑会社法
☑知的財産
経営情報システム
☑情報技術
☑システム・ソフトウェア開発
☑経営情報管理
☑統計
中小企業経営・中小企業政策
☑中小企業経営(中小企業経営の統計)
☑中小企業政策(補助金や助成金等)
科目毎の勉強方法について
1次試験はすべてマークシート式試験ですが、科目毎で出題形式に特徴が異なります。
各科目ごとの対策や勉強方法を知りたい方向けに、各科目の勉強法について下記記事にて詳述しております。
2次試験4科目の内容について(論述式+口述)
科目名 | 試験時間 | |
1 | A 中小企業の診断および助言に関する実務の事例Ⅰ | 80分 |
2 | B 中小企業の診断および助言に関する実務の事例Ⅱ | 80分 |
3 | C 中小企業の診断および助言に関する実務の事例Ⅲ | 80分 |
4 | D 中小企業の診断および助言に関する実務の事例Ⅳ | 80分 |
事例Ⅰ:人事・組織
事例Ⅱ:マーケティング
事例Ⅲ:運営管理
事例Ⅳ:財務・会計
論述試験について
4つの事例(4つの事例企業)が出題されます。
各事例ごとに企業の状況について長文の与件文が与えられ、事例企業の抱える課題の解決策や現状分析などについて論述が求められます。
各設問の論述は30文字~200文字程度です。
各科目100点満点×4科目=400点満点の試験で1次試験と同様、足切りがあります。
また、合格点に関しても1次試験同様、6割の240点以上の得点となります。
論述で問われる設問のイメージを持っていただくために、本試験の設問を各事例ごとで紹介していきます。
【事例Ⅰ:令和元年度出題】
A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因
は、古い営業体質にあった。その背景にある A 社の企業風土とは、どのようなものであるか。100 字以内で答えよ。
上記は組織論についての問題です。
【事例Ⅱ:令和元年度出題】
B 社社長は減少するであろう顧客分を補うため、協業を通じた新規顧客のトライ
アルが必要であると考えている。どのような協業相手と組んで、どのような顧客層を獲得すべきか。理由と併せて 100 字以内で助言せよ。
マーケティングに関する問題ですね。どのような顧客層をターゲットとすべきか助言を求められています。
【事例Ⅲ:令和元年度出題】
自動車部品メーカー X 社からの機械加工の受託生産に応じる場合、C 社における
生産面での効果とリスクを 100 字以内で述べよ。
工場の生産管理に関する出題です。
【事例Ⅳ:平成29年度出題】
D社の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を 40
字以内で述べよ。
財務分析に関する出題です。
このように事例企業に対するアドバイスを論述形式で求められるため、知識だけではなく、応用力・アウトプット力が問われる試験となります。
2次試験の対策を知りたい方は、中小企業診断士2次試験の対策の仕方【おすすめの本や学校も紹介】で詳述しておりますので、合わせてご覧ください。
口述試験について
口述試験は論述試験の合格者が受験します。
2名の試験官から、論述試験で問われた事例企業についての質問をされます。
4つの質問が行われ10分ほどの試験になります。
ちなみに、口述試験に関しては例年99%以上の合格率となっていますので、2次論述試験に合格できれば、ほぼ合格が確定します。
続いて、中小企業診断士試験合格にはどれくらい勉強時間が必要なのか解説していきます。
なお、補足として、診断士試験は科目合格制の試験ということもあり、1次試験の各科目の合格は3年間有効というルールや、1次試験の合格によって2次試験は2回挑戦することも可能です。
【中小企業診断士試験のその他の特徴】
■1次試験は科目合格制(3年間有効)
■1次試験に合格すれば、合格した年を含めて2年間、2次試験に挑戦することができる
※詳しい試験内容は「中小企業診断士試験の合格率と難易度【合格基準も解説】」の記事に書いているので合わせてご確認ください。
中小企業診断士試験の合格に必要な勉強時間
中小企業診断士合格に必要な勉強時間は1,000時間以上
中小企業診断士合格までに必要な勉強時間はおおよそ1,000時間~1,500時間程度です。
中小企業診断士試験は合格率が約4%の難関資格です(1次2次試験のストレート合格の場合)。
単純に計算すると毎日3時間×365日の勉強で1,095時間となりますから、1年間かけて毎日平均して3時間を捻出するくらいの勉強が必要ということですね。
働きながら取得を目指される方の場合は、非常に多くの勉強時間が必要なので、「継続して勉強をしていくという覚悟」と「スキマ時間を活用しながら勉強すること」が必要です。
あくまで1,000時間~1,500時間というのは一般的によく言われるものですが、独学なのか通学なのかということや短期集中でやるか長期間かけてやるかによっても変わってくるので参考程度に受け止めるのが良いと思います。
中小企業診断士の試験内容・特徴まとめ
要点をまとめると下記になります。
・試験は1次試験(多肢選択式)と2次試験(論述式+口述)に分かれている
・中小企業診断士の合格までに必要な勉強時間は「1,000時間以上」
試験範囲も広く、かなり長期的な勉強が必要となるため、通信講座を活用して学習を行う方が非常に多いです。
隙間時間を活用しながら確実に合格を目指したい方は合わせて下記記事をご確認ください。
