中小企業診断士は1次試験・2次試験を通してストレート合格率が4%程度の難関国家資格です。かなりの難関試験ですが、サラリーマンや大学生であっても独学で受験しようと考える方は多いのでないでしょうか。
本記事では、中小企業診断士試験に独学で受験しようと思っている方がこの記事を読めば、どのような心構えで、どれくらいの時間をかけて、どのように勉強を進めていけばよいかを解説していきます。
本記事の手順に従っていけば、中小企業診断士試験を独学で勉強をスタートできる状態になるよう解説をしていきますので、何度も繰り返し読みながら受験のための準備を進めていってください。
元銀行員で、現在はベンチャー企業で中小企業診断士の資格を活かしながらITツールを用いた業務効率化コンサルティングを行っています。
26歳で中小企業診断士2次試験に合格・登録。
<1次試験の成績>
・企業経営理論 60点
・財務会計 88点
・運営管理 52点
・経済学・経済政策 92点
・経営法務:60点
・経営情報システム:52点
・中小企業経営・政策: 78点
【合計得点】482点
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中小企業診断士は独学で合格可能か
1-1.中小企業診断士は独学合格可能
結論ですが、中小企業診断士は独学でも合格可能です。
この記事を書いている筆者も中小企業診断士に合格し、周囲でも独学で合格している人を何人も見ています。
身の回りの10人の中小企業診断士に聞いたところ下記の通り。
【どのように中小企業診断士に合格したか?】
・独学合格:4人
・通信講座:3人
・資格学校:3人
サンプル数は少ないですが、あながち間違いではないと思いますね。
ちなみに4人中3人は資格学校のTACのテキストを利用していたようですよ。
【前提】ここから細かい論点に入っていくので、中小企業診断士試験についてあまり知らない方は下記の2記事も参照ください。こちらを既に知っている前提で解説していきます。


1-2.中小企業診断士を独学で合格するために必要なこと

中小企業診断士試験に合格するためには、下記のことを考える必要があります。
1.勉強の量(勉強時間)
2.勉強の質(何をどのように勉強するか)
3.勉強するうえでの心構え(マインドセット)
上記の3点については勉強を開始する前、そして勉強を開始した後、常に考えながら進んでいく必要があります。
というのも、中小企業診断士試験に合格するまでに必要な期間や勉強時間は長く、勉強時間の確保状況、勉強の質、モチベーションによって、試験結果が大きく変わってくるからです。
1-3.中小企業診断士に合格するまでの勉強時間
中小企業診断士試験に合格するための勉強時間は一般的に1,000時間~1,500時間と言われています。
この記事を読んでいるあなたは、何か月(もしくは何年)で合格しようと考えていますか?
例えば1年で合格したいと考えている場合には、おおよそ3時間の勉強時間を毎日確保する必要があるということです。
会社員の場合は平日はなかなか時間が取れない、主婦の場合は日中は子供も面倒を見るため時間が取れないなど生活環境によって、いつ勉強時間を確保できるかが変わってきます。
自身が何曜日のどの時間帯で勉強時間を確保できそうかを頭に入れつつ、1,000時間~1,500時間の勉強時間を計画的に達成できるかを考えましょう。
※詳細は本記事内の「中小企業診断士を独学で目指すためのスケジュール設計」にて解説。
1-4.中小企業診断士に合格するための勉強の質の上げ方
勉強の質とは、下記のことを指します。
「勉強の質」=「効果(得点)の伸び/勉強時間」
つまり同じ1時間勉強している中で、どれだけ本番試験の点数に良い影響を出せているかを意識しながら勉強する必要があります。
勉強の質を上げるためには、次の3つのポイントを意識しましょう。
ポイント①:1時間毎の勉強のゴールの明確化
ポイント②:集中が継続できる環境の整備
ポイント③:定着を意識した復習型の勉強
※詳しくは次の章「中小企業診断士試験を独学で合格するための勉強法」で解説。
1-5.中小企業診断士試験に挑戦するための心構え
何度も記載していますが、中小企業診断士試験は難関資格です。
難関資格なので、それなりの努力が必要になることは忘れないようにしましょう。
誰もが努力を重ねたうえで点数が伸びて合格圏内に到達できます。
また、常に右肩上がりで成績が伸びていくとは限らず、勉強をしていて伸び悩むこともあります。
伸び悩んだ時こそ下図のようなティッピングポイント(超えると爆発的に伸びる点)を意識して踏ん張りましょう。
筆者も試験1か月ほど前の資格学校の公開模試で合格点を50点近く下回りましたが、本試験では480点超えしています。
最後の最後に成績が一気に伸びることがあるので、モチベーションを保ちつつ着実に積み上げをしていきましょう。

中小企業診断士試験を独学で合格するための勉強法

2-1.勉強法①:勉強の質を上げるためのポイント
先述の通り、中小企業診断士試験においては勉強の質を上げつつ、勉強を進めていくことが重要です。
ポイント①:1時間毎の勉強のゴールの明確化
ポイント②:集中が継続できる環境の整備
ポイント③:定着を意識した復習型の勉強
ポイント①:1時間毎の勉強のゴールの明確化
Aさん
「この1時間で第1章の要点をノートにまとめる」
「この1時間で問題集を10問解く」
「この1時間で昨日学習した範囲を全復習する」
Bさん
「とりあえずテキストを開いて読んでみる」
AさんとBさんは1時間後に確実に差がついています。
勉強をする際には自分なりのゴールを設定して取り組むようにしましょう。
ポイント②:集中が継続できる環境の整備
勉強をするときに、10分や20分ごとにスマートフォンを見ていませんか?
ポイント①で解説したようにゴール設定をしたうえで、時間を計って勉強して他のことは何もしないようにしましょう。
なぜなら人が勉強に集中できるようになるには、スタートから10分から15分ほどかかります。
ですので、都度都度で別のことをしてしまうのは勉強の質が下がってしまいます。
ポイント③:定着を意識した復習型の勉強
勉強をしていても、自身の頭に定着しなければ意味がありません。
とはいっても人間は覚えたことを忘れていってしまう生き物です。
忘却曲線をご存知でしょうか。
1時間後:覚えた内容の56%を忘れる
1日後:覚えた内容の74%を忘れる
1週間後:覚えた内容の77%を忘れる
1ヶ月後:覚えた内容の79%を忘れる
このように、勉強をした1時間後には半分以上を忘れてしまうのです。
ですので、【1日の終わりに復習をする・1日後に復習する・1か月に復習する・3か月後に復習する】というようなスパンで復習をして知識を定着化させることが必要です。
2-2.勉強法②:1次試験7科目の得点戦略を考える
【1次試験の内容】
科目名 | 2次試験との 関連性 |
勉強時間対効果 | |
1 | 企業経営理論 | 〇 | △ |
2 | 財務・会計 | 〇 | 〇 |
3 | 運営管理 | 〇 | 〇 |
4 | 経済学 経済政策 |
△ | 〇 |
5 | 経営法務 | △ | 〇 |
6 | 経営情報システム | △ | 〇 |
7 | 中小企業経営 中小企業政策 |
△ | 〇 |
ですので、科目毎の得点戦略を考えて勉強時間の配分を行う必要があります。
ご参考までに受験時代の筆者の得点戦略は下記です。
企業経営理論:60点
財務・会計:75点
運営管理:50点
経済学・経済政策:70点
経営法務:65点
経営情報システム:50点
中小企業経営・政策:70点
全体合計:440点
得点戦略を決めていくうえでのポイントは2点です。
・2次試験との関連性
・勉強時間対効果
・自身の得意・不得意
これらを勘案しながら、自分なりの得点戦略を作成してみましょう。
※勉強を進めていく過程で、少しずつ変化させて問題なしです。目標点数が低かったとしても2次試験と関連性が高い科目に関しては勉強時間は確保が必要です。
また、科目別の勉強法については別記事でまとめております。
勉強を開始した際には、下記の記事をチェックしながら勉強を進めていきましょう。
【企業経営理論】
「企業経営理論」の勉強法と出題傾向について
【財務・会計】
「財務会計」の勉強法について【合格率や勉強時間もまとめています】
【運営管理】
「運営管理」の勉強法と出題傾向について
【経済学・経済政策】
「経済学・経済政策」の勉強法とおすすめの参考書籍は?
【経営法務】
「経営法務」の勉強法を解説【勉強時間や合格率もまとめています】
【経営情報システム】
「経営情報システム」の勉強法は?足切りにならないための対策をまとめました!
【中小企業経営・政策】
中小企業経営・政策の勉強法【合格率や勉強時間もまとめています】
2-3.勉強法③:問題集とテキストの使い方

問題集とテキストを有効に活用するためには、まずは問題集を解くことから始めましょう。
目的は、相手を知ることで何を覚えるべきか・理解するべきかを知るためです。
ですので、正解する必要もないですし眺めるだけでも問題ないです。
問題を解いてみたら、次にテキストを読みましょう。
問題で出題されていたところがが特に覚えるべき箇所になります。
このインプット手順を終えたら、次の章に進んで勉強し、寝る前に復習。
そして翌日に問題集を考えながら解いていきましょう。
中小企業診断士を独学で目指すためのスケジュール設計

3-1.試験までの学習スケジュール
手順①:試験までの全期間のスケジュールを設計
手順②:月次スケジュールの設計
手順③:週次スケジュールの設計
上記の手順で設計します。
手順①では全体の期間を俯瞰したスケジュールを設計します。
設計時に意識するのは、下記の2点。
1.どの科目をどのタイミングで勉強開始するか
2.過去問や問題集をどの期間でどれくらい進めるか
そして下記の注意点も忘れないようにしましょう。
1.作りこみすぎないこと
2.勉強を開始してからも適宜修正していくこと
手順②と手順③は、手順①をさらにドリルダウンして設計していきましょう。
作りこみすぎは厳禁です。まずは勉強を開始しつつ、スケジュールを設計しましょう。
問題はスケジュールを作りこみすぎて勉強をスタートできていない状態になることです。

3-2.7科目のインプットは1次試験の2か月前に完了しよう
スケジュールを組む際には「7科目のインプットを1次試験の2か月前に完了させる」ようにしましょう。
理由は、点数の伸びと知識の定着のための復習が重要だからです(ティッピングポイントを超えられない)。
余裕をもって学習スケジュールを組むことで、最後2か月は問題集でアウトプットしながら得点を一気に伸ばすことができる期間です。
この期間をしっかりと作れるようにしておきましょう。
更に具体的な学習スケジュールは「【必読】独学で1次試験7科目を勉強する順番は?」を確認しましょう。
中小企業診断士独学合格を目指すためのおすすめの参考書
4-1.1次試験合格に必要な参考書
中小企業診断士試験に臨むにあたっては、参考書が必要です。
下記の3点があればスタートとして問題なしです。
1.基本テキスト
2.過去問題集
3.その他、知識を補完する本(必須ではない)
1.基本テキスト
TACのスピードテキストはおすすめです。
本書の特徴は、試験範囲の知識を網羅していることです。
このテキストの内容が頭の中に入っている状態=合格点を十分超えている状態といえるほど網羅されていますよ。
筆者はこの基本テキストでインプットのほとんどをしていました。
2.過去問題集
基本テキストと同じくTACがおすすめです。
基本テキストと過去問題集は同じ学校のものを利用するようにしましょう。
理由は、解説されている内容と基本テキストのリンクがしやすいからです。
3.その他、知識を補完する本
TACや資格の大原のテキストはかなり良書なのですが、弱点もあります。
各論点の説明が、かなり簡略になっているということ。
なので、初めて学習をする人は「なんで?」がかなり出てきます。
その「なんで?」を補完するために、各科目の知識が少ない方向けの補足としておすすめな本を紹介します。
【財務会計】
かなり良書。筆者は銀行員時代にこの本を読んで財務諸表の流れが腑に落ちました。
【経済学・経済政策】
中小企業診断士で書かれている内容は難しいことが多いので、まずは経済学の全体像をざっくり理解するのであればこの本。
診断士のテキストがチンプンカンプンな人もこの本くらいの簡潔なものにいったん戻るのも重要。
【経営情報システム】
どちらかというとITのトレンドとなっていることを説明している+α的な本。
4-2.2次試験合格に必要な参考書
・基本テキスト
・過去問題集+財務会計の問題集
この2点で問題なしです。
かつ、基本テキストについては1次試験のもので十分です。
【基本テキスト】
1次試験のテキストがあれば問題なしですが、2次試験で特に問われる論点をキレイにまとめてあるのがこちらの全知識&全ノウハウシリーズ。
1次試験で学習したノウハウを事例企業にどのように応用させていくか整理できます。
【過去問題集】
続いて問題集としてはふぞろいシリーズが必須。肌感覚ですが、2次試験受験者の7割以上は使用していると思います。
ふぞろいシリーズのメリットは、実際に受験をして合格した人と不合格になった人の再現答案を確認できることです。
どのような理由やワードを入れれば得点できたのかを分析できることです。
【財務会計の問題集】
2次試験の財務会計はとにかく問題演習を繰り返し答案を作成できるようになることがゴールです。
筆者はこちらの問題集を活用して、財務会計の得点力を上げました。
参考情報:独学と通信講座を合わせるといい理由

ここからは参考情報です。
基本的にこれまで解説をしてきた通り、中小企業診断士は独学でも合格可能です。
しかし、独学に合わせて通信講座を活用するのもメリットがあり、おすすめです。
5-1.メリット①:移動時間を活用した勉強の効率が上がる
メリットの1つ目は「移動時間を活用した勉強の効率が上がること」です。
独学で受験を目指す場合、上記で購入したテキストや過去問がありますが、いずれも持ち運びする場合はどうしても荷物が重たくなってしまいます。
最近の通信講座はDVDではなく、「スマートフォンで講義動画を視聴できる+問題演習をすることができる」ので通勤で電車を活用している方は、スマホ1台で勉強が可能です。
5-2.メリット②:苦手な科目の補足として活用すれば料金も安い
もちろん独学で合格を目指される皆さんなので、通信講座を利用するとしても補足的に利用することがおすすめです。
例えば、「経営情報システムと運営管理が苦手だから、この2つだけ受講してみよう」ということも可能なのです。
補足的に活用する理由は、どうしてもテキストや問題集の文字だけだと、人は理解が遅くなってしまったり、もしくは理解できなかったりします。
動画講義を受講することによって、音声情報も入りますのでいままでよく分からなかった内容も腑に落ちます。
5-3.通信講座を比較する
中小企業診断士の通信講座は下記のいずれかを利用している方が多いです。
ここまで説明をしてきたメリットを2つ満たす通信講座のはスタディングです。
スタディングでは科目別コースがあり、1科目あたり14,300円~とお手頃なので、独学であまり費用をかけたくないという方であっても、1科目だけ利用することができます。
>>スタディングの科目別コースはこちら
なお、診断士ゼミナールはフルカラーテキストかつイラストが非常に多く盛り込まれているのが特徴的な通信講座です。
複数年かけて合格を目指している方向けにはお得な料金体系になっているので、合わせて確認してみましょう。

最後に
この記事を読んでいるあなたは、中小企業診断士を独学で合格するための手順や方法についてイメージが湧いてきていると思います。
まずは、参考書を選定して勉強をスタートさせてみましょう。
そして躓きそうになったりうまくいかなくなった際には、本記事に1度戻ってきていただき方向を修正しながら合格まで突き進んでいただければと思います。
それでは、以上となります。
不安なことや分からないことがあれば、お問い合わせページもありますのでそちらに投稿をしていただければと思います。

<中小企業診断士1次試験の科目別勉強法の記事はこちら>
【企業経営理論】
「企業経営理論」の勉強法と出題傾向について
【財務・会計】
「財務会計」の勉強法について【合格率や勉強時間もまとめています】
【運営管理】
「運営管理」の勉強法と出題傾向について
【経済学・経済政策】
「経済学・経済政策」の勉強法とおすすめの参考書籍は?
【経営法務】
「経営法務」の勉強法を解説【勉強時間や合格率もまとめています】
【経営情報システム】
「経営情報システム」の勉強法は?足切りにならないための対策をまとめました!
【中小企業経営・政策】
中小企業経営・政策の勉強法【合格率や勉強時間もまとめています】