財務会計は2次試験との関連性が非常に高い、中小企業診断士試験合格にとって最も重要な科目の一つです。
よく「財務会計を制する者は中小企業診断士試験を制す」と言われているほどです。
この記事を書いている筆者は財務会計は88点で合格しており、まずは合格点の60点を目指す人から、更なる高得点を目指す人まで参考になる内容を解説していきます。
本記事ではそんな財務会計についてまとめていきます。
【本記事の内容】
・財務会計の出題内容について
・財務会計の合格率の推移
・財務会計の勉強法について
元銀行員で、現在はベンチャー企業で中小企業診断士の資格を活かしながらITツールを用いた業務効率化コンサルティングを行っています。
26歳で中小企業診断士2次試験に合格・登録。
<1次試験の成績>
・企業経営理論 60点
・財務会計 88点
・運営管理 52点
・経済学・経済政策 92点
・経営法務:60点
・経営情報システム:52点
・中小企業経営・政策: 78点
【合計得点】482点
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中小企業診断士 財務会計の試験内容と科目の特徴
財務・会計の試験内容
まずは、試験の全体像を把握するのが大事。
下記が財務会計の出題内容です。
【財務会計の出題内容】
・簿記の基礎
・企業会計の基礎
・原価計算
・経営分析
・利益と資金の管理
・キャッシュフロー(CF)
・資金調達と配当政策
・投資決定
・証券投資論
・企業価値
・デリバティブとリスク管理
・その他財務会計に関する事項※平成31年中小企業診断士
第1次試験案内より
主に企業のお金にまつわることについて、網羅的に学習をする必要があります。
たとえば、企業がしっかり儲かっているのかを確認するための「経営分析」や、新しい事業に投資すべきかを判断する「投資決定」があります。
財務会計の科目の特徴
財務会計の科目の特徴は計算問題が多く出題されることです。
計算問題と暗記問題の双方が出題され、得点割合は5:5くらいです。
知識問題と計算問題は勉強方法を変えつつ対策を立てていく必要があります。
ちなみに、計算問題は問題の形式がパターン化がされています。
計算が得意ではないという方でも、しっかり過去問題をこなし解法を覚えていくことで十分対応できる内容となっていますので安心してください。
計算問題は理論を学習しておくことで、初見の問題でも対応できる内容となっています。考え方を学ぶことで様々な問題に応用可能ですので、暗記だけで学習するのはやめておきましょう。
一方で知識問題は、自分が知らないと解けない問題が並ぶので、試験勉強の後半に詰めていきたいところです。
中小企業診断士 財務会計の合格率の推移
年度 | 平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
合格率 | 6.1% | 36.9% | 21.6% | 25.7% | 7.3% |
近年の合格率は10%を下回る年度もあれば、逆に20%を大きく上回る年度もあるなど、バラツキが大きいです。
難易度の上がった年度でも60点を超えられるような対策を考えていく必要があります。
下記の記事で全科目の過去8年分の合格率の推移をまとめています。
「中小企業診断士試験の合格率は?意外と複雑な合格基準についても解説!」
中小企業診断士 財務会計の勉強法について
財務会計の勉強法①:とにかく計算問題は手を動かして演習するべき
財務・会計の初期段階ではとにかく手を動かして問題数をこなしていくに集中しましょう。
財務会計の点数を上げるための基礎は問題数をこなして計算に慣れることです。
手を動かして解いた問題の数だけ、本試験での対応力が上がります。
逆に、テキストを見つめているだけでは点数は上がりません。
では、具体的にどれくらい問題演習をすればよいか?
実際にこの記事を書いている筆者は、下記を勉強方法を10か月継続しました。
苦手意識を持っている方は少なくとも、これくらいの勉強はやりましょう。
【計算が苦手な方】
1週間のうち、5日は最低1問の問題演習を行いましょう。
【計算が得意な方】
1週間のうち、2日は問題演習を行いましょう。
計算が苦手な方についてはまずは、「計算に慣れる」ために最低でも1週間に5日(最低1問)は必須です。できれば毎日最低1問を行うのがベターです。
また、最低1問の解き方ですが、毎日別の分野の問題を解いていくのが理想です。
財務会計は様々な論点があるため、勉強をしていないと解法を忘れてしまいますのでできる限り色んな論点を解いておき、土日などのまとまった時間に苦手と気づいた範囲を重点的に取り組みましょう。

財務会計の勉強法②:財務会計の初心者は【図解「財務3表のつながり」でわかる会計の基本」を読みましょう
中小企業診断士の財務会計は仕事上で財務や会計に関する仕事に携わられている方にとっては、そこまで難しく感じないかもしれません。
しかし、財務会計について初めて学習をスタートされる方は、財務会計の考え方を理解することすらが難しいかもしれません。
テキストを読んでいて頭になかなか入らない方へのおすすめの書籍として、國貞克則氏が書かれている「図解「財務3表のつながり」でわかる会計の基本」という本があります。
財務・会計を初めて学ぶ方にとって分かりやすい本になっているので、勉強を始めるまでに1度読んでおくとよいかもしれません(勉強途中の方でも、財務会計の考え方が整理できる本ですのでおすすめですよ)。
筆者自身もこの本を読んだことで、これまで腑に落ちなかった部分が、スッと解決されました。
初心者向けの書籍にはなっていますが、かなり本質を捉えている書籍で財務会計の考え方の基本を学習したい方は必ず読んでおくことをおすすめします。
財務会計の勉強法③:財務会計は勉強時間をしっかりかけるべき
財務会計は定着→得点に結びつくまで時間がかかる科目です。
また、2次試験でもかなり重要な科目であることから、勉強時間はしっかりかけるべきです。
結論、暗記系科目の2倍の勉強時間を確保しましょう。
経営情報システムや中小企業経営・政策などの暗記科目は勉強開始から得点が上がるまでの期間は非常に短いです。
一方、財務会計は知識の定着が難しいうえ、仮に1次試験を財務会計が苦手な状態で合格したとしても2次試験で苦労します。
中小企業診断士試験は1次試験と2次試験を合格して初めて中小企業診断士となる資格が得られますので、長期的な目線でしっかり勉強時間を取るようにしましょう。
財務会計の勉強法④:得意科目にするためには2次試験の問題集を利用すべき
財務会計を得意科目にしたい方は1次試験のタイミングから2次試験対策を含めた問題演習をしましょう。
理由は、断片的な知識が整理できるからです。
1次試験では、各分野の問題が分断された状態で出題されます。
つまり、1次試験の問題演習だけでは、学習した分析手法や知識が実際の会社でどのように利用されているかがイメージしにくいため、ただの暗記でしか無くなってしまうのです。
2次試験対策の問題集では事例企業の背景なども含めながら、実践的な問題を解決するために財務会計の知識が必要です。
はじめは問題が難しく感じるかもしれませんが、1日5分の演習からでも進めておくことで、やっている人とない人とで大きな差をつけることができます。
参考までですが、上記2つの問題集は実際に筆者が利用していたものです。
試しに1つ買ってみて、問題演習をしていきましょう。必ずやればやるだけ成果につながってきますよ。
財務会計のおすすめテキストと過去問題集
財務会計のおすすめテキスト
おすすめのテキストはTACが出版しているスピードテキストです。
財務会計のおすすめの過去問題集
テキストと同じところが出版している過去問を利用するのがベターです。
また、分野別に知識を整理しながら勉強するには過去問と合わせて下記のスピード問題集を利用するのがおすすめです。
財務会計が苦手な方は通信講座の活用も検討しよう
財務会計がどうしても苦手な方は通信講座の利用を検討するのも一案です。
・テキストや過去問だけで文字のみで勉強してもなかなか理解ができない
・通勤通学時間を活用して苦手科目を克服したい
上記のような方におすすめの、中小企業診断士の通信講座はスタディング(STUDYing)と診断士ゼミナールです。
どちらもスマホで動画講義が見れてスキマ時間を活用して勉強が可能です。
詳しい比較は下記の記事にまとめていますので参考にしてみてください。

なお、スタディングは1科目からでも受講できるので、弱点の補強に1科目だけで受講するというのが筆者のおすすめです。
【参考】財務会計の攻略に簿記の学習は必要か?
結論、簿記の学習は必要最低限で問題なしです。
簿記の問題が毎年数問出題されます。
しかし、簿記の勉強をされたことがない方にとっては中小企業診断士試験だけの対策のために勉強をするのは、効率がよくないのでおすすめできません。
簿記の勉強するとしても、あまり時間をかけず基礎的なことだけに留めておきましょう。
