ここ最近、合格率の変動が大きい「経営情報システム」についての勉強法について解説します!
この科目は、IT業界の方やシステムに馴染みがあるかどうかによって、勉強の進捗に大きな差が出てくる科目です。
ですので、下記のようなお悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか?
「IT初心者なので、そもそもテキストを読んでも見慣れない用語ばかりで頭に入ってこない」
「主要科目(企業経営理論や財務会計)に時間をかけたいので、効率よく勉強したい」
本記事では、上記のような悩みを解決できるような勉強の方法について記載していきます。
【本記事の内容】
・経営情報システムの近年の合格率推移を解説
・経営情報システムの出題内容について解説
・足切りにならない勉強法と合格点をめざす勉強法を解説
元銀行員で、現在はベンチャー企業で中小企業診断士の資格を活かしながらITツールを用いた業務効率化コンサルティングを行っています。
26歳で中小企業診断士2次試験に合格・登録。
<1次試験の成績>
・企業経営理論 60点
・財務会計 88点
・運営管理 52点
・経済学・経済政策 92点
・経営法務:60点
・経営情報システム:52点
・中小企業経営・政策: 78点
【合計得点】482点
おすすめの通信講座はスタディング(旧通勤講座)と診断士ゼミナール。
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スタディング(旧通勤講座)では1科目のみの受講も可能、かつ無料登録で動画を試しに聞いてみることもできるので、気になる方はチェックしましょう。

中小企業診断士 経営情報システムの概要
経営情報システムの試験概要
科目 | 試験時間 | 配点 |
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
経営情報システムは、企業のシステムの活用や情報通信技術の知識について問われる科目です。
中小企業診断士試験の2日目の日程で試験時間は60分、配点は100点となります。
また、経営情報システムの科目単体での合格ラインは60点となります。
経営情報システムの科目設置の目的
情報通信技術の発展、普及により、経営のあらゆる場面において情報システムの活用が重要となっており、情報通信技術に関する知識を身につける必要がある。また、情報システムを経営戦略・企業革新と結びつけ、経営資源として効果的に活用できるよう適切な助言を行うとともに、必要に応じて、情報システムに関する専門家に橋渡しを行うことが想定される。このため、経営情報システム全般について、以下の内容を中心に基礎的な知識を判定する。
※令和3年度中小企業診断士第1次試験案内より引用
経営情報システムの出題範囲
出題範囲 | 出題内容の一例 |
情報通信技術 | ・ハードウェア(コンピュータの機能等) ・ソフトウェア(ソフトウェアの種類やプログラミング言語等) ・データベースの構造や種類 ・VPNなどの通信ネットワーク ・システムの性能評価等 ・M&A関連知識続きに関する出題等 |
経営情報管理 | ・経営戦略と情報システムとの関連性 ・情報システムの開発に関する計画/プロセスについて ・システム運用とセキュリティ ・アウトソーシング他 |
システムがどのようにできているのかという設計の話やプログラミング言語、システム開発の手法、統計に関する出題など様々です。
対策としては、用語の意味を暗記できていれば足切りライン到達は可能です。
勉強の開始時期については比較的遅めのスタートでも十分対応はできる科目ですが、試験間近になって一気に暗記できる量ではないので、遅くとも試験の2~3か月前からは勉強を開始するようにしましょう。
※経営情報システムはIT業界に働いていない方にとってイメージが湧きづらいです。
下記の記事ではわかりやすく用語を解説しているサイトや頻出論点をまとめています。

経営情報システムの合格率の推移と難易度は?
年度毎の合格率の推移
年度 | 合格率 |
H29年度 | 26.6% |
H30年度 | 22.9% |
R1年度 | 10.1% |
R2年度 | 28.7% |
R3年度 | 10.6% |
まず、過去5年間の合格率を見ていきましょう。
直近5年間の合格率は他の科目と比較しても高めになっています。
※ただし、H27年度は合格率8.5%、H28年度は合格率6.4%と合格率が一桁台になってしまう年度も、6年以上前には続いていた科目です。
10年以上前の試験では合格率が5%台の年度もあり、難易度の変動が大きい科目ではありましたが、直近では比較的合格率は安定的になってきていると言えます。
▼下記の記事で全科目の過去8年分の合格率の推移をまとめています。

経営情報システムの合格までに必要な勉強時間は?
経営情報システムで科目合格を目指すために必要な勉強時間は、おおよそ80時間~100時間程度です。
経営情報システムは2次試験の出題内容には直結しません。
そのため2次試験との関連性が深い企業経営理論・財務会計・運営管理ほど勉強時間をかけすぎるのは禁物です。
なお、中小企業診断士1次試験は、科目合格できなくても受験科目全体で60%以上の得点ができれば合格となります。
そのため、経営情報システムが苦手だからといって、経営情報システムだけに時間をかけすぎて他の科目に時間を割けない状態にはならないように注意しながら勉強していきましょう。
中小企業診断士 経営情報システムの勉強法について
経営情報システムで足きり点(40点未満)を取らないために
どんなに試験が難化した年だとしても、40点未満を取ってしまえば一発終了になってしまいます。
この足切りラインを下回らないために重要問題は間違えないようにしましょう。
※なお、まれに難易度が上がりすぎてしまった場合に限り、救済処置として全受験者に一律で点数を付与するということがあります。H28年度については経営情報システムでは4点を一律で加算されたことがあります。
過去問題集では正答率が記載されていることが多いです。その中で5割以上の受験者が正答できた問題は重要問題となります。
過去問と全く同じ問題は滅多に出ないですが、過去問で問われたことのある問題は他の受験者も正解率が高くなる問題ですし、何より試験委員としては受験者に正解してほしい問題です。
上記から、足切り点を取らないための勉強の戦略としては、「テキスト+過去問の繰り返し」で勉強を進めていきましょう。
※過去問の解き方・使い方はこちらの記事「効果が大きい過去問の活用法とは?」で見てみてください。
どんなに難化した年度でも過去問で問われた内容の知識を整理しておけば足切り点は下回ることはありません。
ですので、足切りにならないための対策としては、まずはテキスト・過去問の内容をしっかりと理解することに注力しましょう。
経営情報システムで合格点(60点以上)を取るために
ここからはプラスαの勉強についてお伝えさせていただきます。
何度も繰り返しにはなりますが、何より重要なのはテキストと過去問です。
この地盤を固めてから以下の対策をするようにしてくださいね!(下記の対策と並行してテキスト+過去問ができる方は同時並行でも大丈夫ですが、基本的には何よりテキスト+過去問です。しつこいですね笑)
ITパスポートの問題を解いてみる
ITパスポートはIT試験に関する基礎知識を問う国家試験です。
試験の内容も経営情報システムの出題と近いですね。ITパスポートの問題集でおすすめなのは「ITパスポート試験 対策テキスト&過去問題集 (よくわかるマスター)」です。
問題集としての演習だけでなく、知識を補強してくれるテキスト部分もあるのでボリュームは完璧です。
ちなみに下記は、ITパスポート試験の出題内容です(ITパスポート試験のホームページより一部抜粋)。
出題内容が経営情報システムと似ていますよね。
分野 | 大分類 | 中分類 |
ステラテジー
|
企業と法務
|
企業活動 |
法務 | ||
経営戦略
|
経営戦略マネジメント | |
技術戦略マネジメント | ||
ビジネスインダストリ | ||
システム戦略
|
システム戦略 | |
システム企画 | ||
マネジメント
|
開発技術
|
システム開発技術 |
ソフトウェア開発管理技術 | ||
プロジェクトマネジメント | プロジェクトマネジメント | |
サービスマネジメント
|
サービスマネジメント | |
システム監査 | ||
テクノロジー
|
基礎理論
|
基礎理論 |
アルゴリズムとプログラミング | ||
コンピュータシステム
|
コンピュータ構成要素 | |
システム構成要素 | ||
ソフトウェア | ||
ハードウェア | ||
技術要素
|
ヒューマンインタフェース | |
マルチメディア | ||
データベース | ||
ネットワーク | ||
ITトレンドについて知識を補強する
どの試験でも重要なのですが、1つのキーワードに対しての解説や説明などは、1つの説明だけではなく、色んな説明(言い回し・図式化したもの等)として頭にインプットすると理解が数段違ってくるので、いろんな解説を見てみることが重要です。
上記の書籍では、AI /5G/IoT/自動運転車/HRテック/AI翻訳/スマートスピーカーなどといった、近年注目されているITトレンドについて簡単にまとめています。
中小企業診断士のテキストを一回り勉強し終わった方は、知識を広げる意味でも読んでおくのがベターです。
また、日経新聞などでITトレンドを把握するということも重要です。
新聞を読んでいると最近のビジネスにおけるITトレンドはどのようなものがあるか知っておくことができるので、普段新聞を読まれている方はIT周りの記事も読むように心がけてみてはいかがでしょうか。
※普段新聞を読まない方は、中小企業診断士の勉強のために新聞を読むということは費用対効果があまり良くないのでおすすめしません。普段、新聞を読んでいる方が、読んでいる記事を変えていくのがおすすめです。
中小企業診断士 経営情報システムのおすすめテキストと過去問題集
経営情報システムのおすすめテキスト
おすすめのテキストはTACが出版しているスピードテキストです。
経営情報システムのおすすめの過去問題集
テキストと同じところが出版している過去問を利用するのがベターです。
また、分野別に知識を整理しながら勉強するには過去問と合わせて下記のスピード問題集を利用するのがおすすめです。
経営情報システムが苦手な方は通信講座の活用も検討しよう
経営情報システムがどうしても苦手な方は通信講座の利用を検討するのも一案です。
・テキストや過去問だけで文字のみで勉強してもなかなか理解ができない
・通勤通学時間を活用して苦手科目を克服したい
上記のような方におすすめの、中小企業診断士の通信講座はスタディング(STUDYing)と診断士ゼミナールです。
どちらもスマホで動画講義が見れてスキマ時間を活用して勉強が可能です。
詳しい比較は下記の記事にまとめていますので参考にしてみてください。

なお、スタディングは1科目からでも受講できるので、弱点の補強に1科目だけで受講するというのが筆者のおすすめです。
中小企業診断士 経営情報システム:最後にまとめ
ここまでで、経営情報システムの勉強法についてまとめてきました。
【足切り点を取らないために】
→「過去問を徹底的に演習」と「しっかりテキストを読み込む」
【60点以上を取るために】
→上記に加えて、補強教材を活用する(ITパスポートの問題集など)
難易度の変動が非常に大きい、経営情報システムですが、あくまで基本は「過去問とテキスト」をしっかりと勉強しきるということです。
ここの部分だけしっかり行えば足切りになってしまう可能性も低くなりますし、簡単な年度であれば合格点を超えることもできます。
まずは過去問とテキストを繰り返し行ったうえで、さらに高得点を目指す方は補強教材を活用してみてはいかがでしょうか。
この記事が皆様の試験勉強方法の中で役立てていただけたらと思います。
また他の科目の試験対策についてもまとめさせていただいているので、是非そちらも確認してみてください。
