企業経営理論は、中小企業診断士の1次試験の中でも、重要な試験科目です。
2次試験とも密接に関連があり、中小企業診断士の勉強の中で多くの勉強時間を費やす科目です。
「勉強していて楽しいけど、過去問を解くといきなり分からなくなる」
「1次試験合格には企業経営理論で何点くらい得点すればいいんだろう」
本記事では、企業経営理論をこれから勉強しようとしている方や、すでに勉強を開始しているが思うように点数が上がらない方向けに解説していきます。
元銀行員で、現在はベンチャー企業で中小企業診断士の資格を活かしながらITツールを用いた業務効率化コンサルティングを行っています。
26歳で中小企業診断士2次試験に合格・登録。
<1次試験の成績>
・企業経営理論 60点
・財務会計 88点
・運営管理 52点
・経済学・経済政策 92点
・経営法務:60点
・経営情報システム:52点
・中小企業経営・政策: 78点
【合計得点】482点
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中小企業診断士 企業経営理論:試験内容と科目の特徴
企業経営理論の試験内容
1.経営戦略論
2.組織論
3.マーケティング
企業経営理論では上記の3分野が出題されます。
企業活動全般で必要最低限の経営の考え方について学習します。
各分野の主な出題範囲については下記の通りです。
経営戦略論の出題範囲
①経営計画と経営管理
②企業戦略
③成長戦略
④経営資源戦略
⑤競争戦略
⑥技術経営(MOT)
⑦国際経営(グローバル戦略)
⑧企業の社会的責任(CSR)
⑨その他経営戦略論に関する事項※平成31年中小企業診断士第1次試験案内より
企業活動を行っていく中で、企業の経営者は様々な意思決定を行いますが、意思決定に用いるフレームワークや考え方について学習します。
頻出とされる用語は「ドメイン」「PPM」「SWOT分析」などです。
組織論の出題範囲
①経営組織の形態と構造
②経営組織の運営
③人的資源管理
④その他組織論に関する事項※平成31年中小企業診断士第1次試験案内より
組織論は、企業の形態・構造について学習します。
特に重要な論点は「組織構造」「企業文化」「モチベーション」等になります。
企業の成長フェーズに合わせた組織のあり方や、企業の文化の特徴について学習していきます。
マーケティングの出題範囲
①マーケティングの基礎概念
②マーケティング計画と市場調査
③消費者行動
④製品計画
⑤製品開発
⑥価格計画
⑦流通チャネルと物流
⑧プロモーション
⑨応用マーケティング
⑩その他マーケティング論に関する事項※平成31年中小企業診断士第1次試験案内より
マーケティングでは、企業の「売れる仕組み」「儲かり続ける仕組み」について学習します。
例えば、「市場調査」や「プロモーション活動」、「チャネル戦略」などです。
企業の営業的な側面についての知識を身につけることができますね。
企業経営理論の科目の特徴
特徴①:7科目の中で最も得点が伸びづらい
特徴②:暗記のみでは正解が得られない
特徴③:問題の選択肢の意味が分かりづらい
上記のとおりです。
中小企業診断士1次試験の7科目の中では「理論系科目」と位置づけられ、単なる暗記のみでは、正答することが難しいです。
よって、勉強の中では「考え方」や「なぜこうなるのか」を意識しましょう。
単なる用語の暗記だけでは、点数が伸び悩むことになります。
実際に、どういうことなのか、過去問題を見てみましょう。
平成30年 第9問 より
【問題文】
技術のイノベーションは発生してから、いくつかの特徴的な変化のパターンをと
りながら進化していく。イノベーションの進化に見られる特徴に関する記述とし
て、最も不適切なものはどれか。【選択肢】
ア 技術システムが均衡状態にあることが、技術開発への努力を導く不可欠な力になるので、技術間の依存関係や補完関係に注意することは重要である。イ 技術進歩のパターンが経時的にS字型の曲線をたどることがあるのは、時間の経過とともに基礎となる知識が蓄積され、資源投入の方向性が収斂するからである。
ウ 優れた技術が事業の成功に結びつかない理由として、ある技術システムとそれを使用する社会との相互依存関係が、その後の技術発展の方向を制約するという経路依存性を挙げることができる。
エ 製品の要素部品の進歩や使い手のレベルアップが、予測された技術の限界を克服したり、新規技術による製品の登場を遅らせることもある。
オ 連続的なイノベーションが成功するのは、漸進的に積み上げられた技術進化の累積的効果が、技術の進歩や普及を促進するからである。
解答は分かりましたでしょうか?
答えは「ア」です。
今初めて過去問題を見られた方は、何が書いてあるかさっぱりわからない方もいらっしゃると思います。
「イノベーション」という言葉の意味を暗記しているだけではこの問題の回答までたどり着くことは難しいです。
イノベーションという言葉や各選択肢に記載されている単語がどのような意味合いを持つ言葉なのかを理解しておく必要があります。
上記の過去問題から見えてくることは、企業経営理論の勉強として最も効果的なのは、テキストで出てくる用語の意味合いを確認したら、それが過去問でどのように出題されるかをリンクさせていくことです。
何度も繰り返しますが、テキストに書かれいる言葉を一言一句暗記するというような勉強の方法では、点数は伸びませんので、注意して勉強していきましょう。
企業経営理論の出題傾向
出題される3分野の過去3年間の本試験での配点は以下のようになります。
過去3年間では、経営戦略・組織論・マーケティングの配点はほとんど均一です。
まずは、均等に勉強をしていけば問題ないです。
1つポイントとなりますが、企業経営理論は基本は理論系科目にはなりますが、「マーケティング」の範囲については暗記だけでも解ける問題が比較的多めです。
本試験の得点を伸ばすために費用対効果が高い勉強はマーケティングになりますので、点数が伸びづらく悩んでいる方は、マーケティングの範囲で高得点を目指してみましょう。
中小企業診断士 企業経営理論:勉強法について
企業経営理論の勉強法:初期段階(本試験の前年9月頃)
①過去問は早めに取り組む
②テキストを網羅的に通読する
勉強スタートした際には、使用するテキストを2~3時間程かけて書いてあることの意味が分からなくても大丈夫ですので、通読してみてください。
この通読の目的は、企業経営理論では何を学ぶのかということの全体像を把握することにあります。
全体像の把握が終わったら少しずつ詳細部分を理解していく勉強を開始しましょう。
比較的理解しやすかった分野から順番に勉強を進めていきます。
テキストで出てくる用語の意味合いを確認したら、それが過去問でどのように出題されるかをリンクさせるために、テキストと過去問を交互に解いていきましょう。
診断士の試験範囲は広いので、この時期の企業経営理論の学習段階であまり理解が出来ない箇所があっても、その分野に拘らずとにかくテキストを進めていくようにしましょう。
企業経営理論の勉強法:中期段階(3月頃)
①余力のある方は2次試験対策をスタート
②過去問演習の繰り返し
③参考図書で理解を深める
余力のある方は、2次試験対策をスタートしましょう。
目的は「論述問題の演習による理解を深める」です。
記述式問題を解くことによって、自分の理解できていない箇所を再確認することができます。
また、この時期は過去問演習を繰り返し行いましょう。
目安として最低3周、できれば5周以上を実施します。
そして、理解が弱い部分については基本テキスト以外の参考書を読むことで理解を深めて行きましょう。
おすすめの参考書については本記事内の「中小企業診断士 企業経営理論:参考書・テキストを紹介」にてまとめています。
企業経営理論の勉強法:仕上げ時期(6月以降)
①過去問の最終確認
②模試・予想問題演習
仕上げ時期には、これまでの問題演習の中で間違えた問題を中心に最終知識の確認を行います。
また、各大手予備校が実施している模試に参加しましょう。
本番さながらの環境の模試では、本試験のような雰囲気を味わうことができます。
企業経営理論のおすすめテキストと過去問題集
企業経営理論のおすすめテキスト
おすすめのテキストはTACが出版しているスピードテキストです。
企業経営理論のおすすめの過去問題集
テキストと同じところが出版している過去問を利用するのがベターです。
また、分野別に知識を整理しながら勉強するには過去問と合わせて下記のスピード問題集を利用するのがおすすめです。
企業経営理論の参考図書
基本テキストの勉強に加えて、より理解を深めたい方向けの参考図書を紹介していきます。
経営戦略論・組織論
経営戦略論・組織論について網羅的にまとめられています。
大学の講義でも利用されており、基本テキストで「もう少し詳しく解説してほしい・・」と思っている方にとっておすすめの参考書です。
他の受験生と比べてより深い知識を身に着けたいという方は、是非読んでみましょう。
マーケティング
マーケティング全般について基本的な内容を学習することが出来ます。
マーケティングの入門者にとっては、最適の1冊です。
ただし、具体例が少ないので、具体例を交えながら解説してほしい人には今ひとつかもしれません。
実例も交えながら学習したい方にはこちらの本がおすすめです。
中小企業診断士の基本テキストには実例があまりなく、イメージがしずらい用語が多くありますが、この本では実例付きなので、よりイメージしやすいですよ。
企業経営理論が苦手な方は通信講座の活用も検討しよう
企業経営理論がどうしても苦手な方は通信講座の利用を検討するのも一案です。
・テキストや過去問だけで文字のみで勉強してもなかなか理解ができない
・通勤通学時間を活用して苦手科目を克服したい
上記のような方におすすめの、中小企業診断士の通信講座はスタディング(STUDYing)と診断士ゼミナールです。
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詳しい比較は下記の記事にまとめていますので参考にしてみてください。

なお、スタディングは1科目からでも受講できるので、弱点の補強に1科目だけで受講するというのが筆者のおすすめです。