法律関連の国家資格の登竜門の「行政書士」。
「行政書士試験の勉強法やコツ・ポイントが知りたい」
「絶対に不合格になりたくない」
本記事では上記のような方向けに行政書士試験に独学合格するための勉強法のポイントについて解説していきます。
私は、大学3年生時に行政書士試験に独学合格。
受験回数2回、平成23年に198点で合格。
独学で合格した経験をもとに勉強法のポイントを解説していきます。
これまで多くの国家資格に挑戦。
保有資格は中小企業診断士、行政書士、宅地建物取引士、銀行業務検定各種2級など。
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筆者は行政書士試験の初受験で158点という惨敗をしています。
行政書士試験に「合格できない状態」と「合格できる状態」の2つを経験しているため、この2回の受験で筆者にとって何が変わったのかを含めて解説していきます。
行政書士試験に独学合格するための勉強法ポイント・コツとは?

行政書士試験に合格するためには「勉強法」「マインド」「勉強する環境」の3つが重要です。
【勉強法】:過去問の徹底活用と類似論点の整理が重要
1年目の筆者の過去問の活用法:5肢択一式の過去問・見直しが雑
2年目の筆者の過去問の活用法:1問1答の過去問・全ての解説を熟読
結論として、行政書士試験の対策では、過去問は1問1答形式の利用と解説の熟読が最も重要です。
理由は、行政書士試験では”曖昧な知識が20個”よりも“正確な知識が10個”が求められるからです。
あなたは「5肢択一式の過去問を3周」して、合格点を超えてくると「合格できる力が身についてきている」と錯覚していませんか?
5肢択一式の過去問で合格点の180点を超えていたとしても、本試験の合格ラインに到達していません。
理由は、下記のような状態にある可能性が高いからです。
- 3周している時点で答えを覚えてしまっている
- 実は5肢のうち、自分が理解している選択肢は3つ
このような状態で勉強していると、本試験で使える”正確な知識”が身につきません。
まさに合格ラインにあると勘違い・錯覚していました。
上記のような状態にならないために、1問1答形式の過去問を活用するのがおすすめです。
- 1問1答形式の過去問で全ての問題が正答できる
- ◯か✕かの理由を頭の中で整理してから解説を見る
この2点を押さえて勉強していくことで、本試験でも使える”正確な知識”が身につきます。
・おすすめの1問1答問題集は下記記事にて紹介していますので合わせてご参考ください。

また、行政書士試験では暗記が非常に多くなりがちですが、やみくもに暗記をするのはNGです。
必ず類似論点をまとめていく作業をしましょう。
テキストの空白スペースに頭で整理しながらまとめていくと、覚えやすいです。
◇行政法 出訴期間の例(期間が問われる問題の整理)
・不服審査:処分知った日の翌日から3ヶ月
・取消訴訟:知った日から6ヶ月
・不作為についての不服申立て:いつでも
・無効等確認の訴え:いつでも
・”曖昧な知識を20個”よりも”正確な知識を10個”を優先
・正確な知識を身につけるには「1問1答形式」の過去問を使用する
・類似論点整理をすると、正確な知識として暗記しやすい
【マインド】継続的に勉強を続けるモチベーションを管理する
1年目の筆者のマインド:「それなりに勉強したので合格できたらいいな。」
2年目の筆者のマインド:「学生のうちに国家資格を必ず取得する!」
行政書士試験に限らず、難関国家資格を受験する際にはマインドが非常に重要です。
不合格になった1年目の筆者は「それなりに勉強したので合格できたらいいな」というふわふわした気持ちで受験していたことが敗因でした。
勉強時間は1年目は500時間ほど確保はしていましたが、マインド面が整っていなかったので本試験で通用する”正確な知識”が足りませんでした。
結果、本試験では「あれ、これって何だっけ?」という問題が多くなり、残り2問・3問までは選択肢を絞れるのですが、どうしても正答率が低くなってしまいました。
2年目の筆者は「学生のうちに必ず合格する」という気持ちに切り替えて勉強に取り組むことができました。
- 友達に今年必ず合格することを明言
- 不合格になった悔しさを忘れない
- 行政書士試験に合格したい目的を整理
精神論ですが、モチベーションをしっかり上げるためのコツです。
▼下記記事で資格試験のモチベーション管理について詳述しておりますので合わせてご覧ください。

そして、そもそも行政書士の資格をとってどのような仕事をしたいのかを明確にすることも重要です。行政書士の仕事内容を詳しく知りたい方は下記記事も確認してみましょう。

【勉強する環境】:勉強する「場所」「時間」「仲間」を作る
最後に勉強する環境についてです。
「場所」「時間」「仲間」をしっかり整えることで、合格に着実に近づきます。
まずは、勉強する場所です。
自分が勉強に集中できる場所がありますか?
筆者は比較的同じ場所で勉強を続けるのが苦手でしたので色々な場所で勉強するようにしました。
・家の机
・大学の自習室
・図書館
次に勉強時間の確保です。
試験直前3か月は筆者は平日は最低5時間、休みの日は最低10時間を確保しました。
ルーティーンは家→大学自習室→図書館→家です。
働いている方の場合は、スキマ時間を活用しないと勉強時間の確保は難しいので通勤中の電車の中や会社でのお昼休みは勉強に費やすようにしていくのがベターです。
最後に勉強する仲間です。
筆者の身の回りでは行政書士試験に受験する人はいませんでしたが、他の資格試験の勉強をしている人とモチベーションを高め合っていました。
勉強仲間は重要なのですが、さらに重要なのは勉強のモチベーションが下がる人との交流はできる限り遮断することですね。
特に、やたら遊びに誘ってくる人などは、できる限り試験勉強中は避けるべきですね。
一度遊びに行ってしまうと、勉強のモチベーション維持が難しいので遊ぶのは息抜き程度にとどめておきましょう。
行政書士試験の得点戦略と勉強する科目の順番は?
得点戦略:各科目の配点から考えてみましょう

<合格基準>※行政書士試験研究センターHPより引用
行政書士試験は300点満点の試験で、300点満点で180点以上であると合格です。
また、足切りもあり、各問題で下記の得点が最低限必要となります。
<各科目の足切り基準>
法令等では、244点満点で122以上(50%以上)の得点
一般知識では、56点満点で24点以上(40%以上)の得点
※合格基準については試験難易度の変動などによって、補正が入ることもあります。
上記を踏まえると、試験全体300点満点のうち、【行政法が112点、民法が76点】を占めておりこの分野をしっかり得点できるように勉強していくことが非常に重要であることが分かります。
【得点戦略】
基礎法学:4/8点
憲法:12/20点
民法:24/36点
行政法:60/76点
商法・会社法:8/20点
多肢選択式:16/24点
記述式:30/60点
一般知識等:28/56点
【合計得点】182点
上記が、最低限突破したい出題分野別の得点戦略です。
特に重視すべきは、民法は6割、行政法は8割を5肢選択式で得点することです。
勉強する順番:最初に勉強すべきは「民法」である理由
さて、各科目の得点戦略が何となく見えてきたら、勉強する順番についても考えてみましょう。
結論は、最初は「民法」から勉強すべきです。
そして、次に行政法→憲法→商法・会社法・・・という流れになります。
配点が最も高く、得点戦略でも最も高得点を目指すべき行政法がなぜ最初に勉強する科目ではないのでしょうか?
理由①:民法は理論科目で得点が上がるまで時間がかかるから
理由②:民法の勉強の方が自分に身近なケースが多く、勉強が楽しいから
民法は単にテキストを読み込むだけでは問題を解くことができません。
暗記した内容(条文や判例)を応用しつつ問題を解く必要があり、演習量をこなす必要があるからです。
理由の2つ目は、民法の方が法律初心者が楽しく勉強を進めることができるからです。
一方で行政法は国や地方公共団体の手続き面に関する内容が多く、初めて法律を学習する人にとってはあまり面白く感じられないからですね。
学習の進め方:初期段階(勉強開始から3か月)

ここからは時期毎の学習の進め方についても触れていきます。
自身の勉強のスケジュールを考えるうえでも、確認しておきましょう。
※前提条件
おおよそ行政書士試験に10か月~12か月程の勉強期間を取る人向けのスケジュールです。これより短い人は少しアレンジが必要です。
まずは初期段階(勉強開始から3か月ほどの間)です。
インプット7割・アウトプット3割
この時期はインプット多めで勉強します。勉強初期段階でも過去問を解くのは必須ですが、行政書士試験に関しては少しインプット多めで計算しておくとベターです。
僕は中小企業診断士と宅建を持っていますが、行政書士試験が一番暗記量が多かったですね。
とはいえ、最初はテキストだけ読み続ける方もいますが、理解できていない段階でも問題で必ずアウトプットするようにしてださい。
(理由は、単純に効率が良いからです。インプットだけだと定着が遅いです。)
また、初期の3か月では、民法と行政法の学習をスタートし全体を一通りこなした状態にできればベターです。
1問1答形式ですと、民法と行政法の分野については1周もしくは2周目に入っているくらい状態です。
初期段階はインプットがやや多め。
民法と行政法は一通りテキストと過去問を1周以上こなした状態。
学習の進め方:中期段階(4か月目~8か月目)
インプット3割・アウトプット7割
4か月以降になると、できる限りアウトプット重視で勉強をしていきます。
繰り返しですが、1問1答形式の過去問を必ず利用したほうがいいですよ。
本試験のような問題集の場合、正解できた問題の各選択肢の復習が疎かになってしまいがちです。
ですので、本試験で合格点を取ることが目的であることを意識して、1問1問「なぜ正しいのか、なぜ誤りなのか」を自然と復習ができる1問1答問題集が大切になってきます。
下記の記事におすすめの1問1答問題集を紹介しているので確認してみてください。
この中期段階で、行政書士試験の全出題範囲についての勉強が一通り終わっている状態と民法・行政法については1問1答は5周以上完了している状態が望ましいですね。
中期段階はアウトプット中心に切替。
全出題範囲について勉強が一通り終わっている状態。
民法と行政法は1問1答が5周以上完了している状態。
学習の進め方:総仕上げ段階(8か月目~試験直前)
インプット5割・アウトプット5割
総仕上げ時期は、1問1答形式の問題集に取り組むことはもちろん、本試験形式の過去問も活用していきましょう。
また、独学で勉強している場合、なかなか本試験の会場の感覚を掴むのが難しいので、大手予備校の模擬試験をこの時期に1度か2度受けることをおすすめします。
自分が合格できるレベルにいるかどうかと、弱点を発見すること、本番に近い雰囲気を体験しておくことが目的です。
試験の直前期(1週間前~2週間前)はとにかく最終の確認とインプットに時間をかけましょう。
総仕上げ段階では知識の最終定着を意識。
独学の場合は、模擬試験は1度か2度受験する。
模擬試験を活用し弱点発見→知識補充。
各科目別の勉強方法について
各科目別の勉強法については下記の記事でまとめています。
【憲法】
行政書士試験の憲法の勉強法【過去問・判例集は必須です】
【民法】
行政書士試験の民法の勉強法を解説【かけるべき勉強時間も解説】
【行政法】
行政書士試験の行政法の勉強法を解説【行政法は高得点を狙おう】
【商法・会社法】
行政書士試験の商法・会社法の勉強法を解説【最低2問獲得を目指す】

