簿記

簿記の基本を図解で解説【初心者向けの知識・用語・基本書を紹介】

「簿記の基礎的な内容について知りたい」
「簿記を学習してみたけど、いまいち全体像が掴めない」
「簿記3級の勉強を最近スタートした」

上記のような方向けに、必ず知っておきたい最低限の簿記の基本について解説していきます。

本記事を読んでいただくことで、下記のような状態になれます。

・簿記勉強のスタートラインに立てる状態
・簿記3級の基本テキストが理解しやすくなる状態
・簿記の学習サイト・コンテンツを知るきっかけになる

Kengo
Kengo
【本記事の筆者】
・元銀行員
・中小企業診断士や行政書士などの国家資格を複数保有

簿記を初めて学習される方は、ぜひ本記事を読んでいただいて簿記の勉強の第一歩を歩みだしていただけると嬉しいです。

簿記の基本知識を学ぼう!

基本知識1:簿記の目的を知る

簿記とはお金や物の出入りを記録することです。

そして、簿記の目的はお金の出入りを記録することによって、「会社が儲かっているのか損をしているのかを知ること」です。

上記の図ではいくらこの会社は儲かっているでしょうか?

答えは「100円(売上)-60円(仕入)=40円」ですね。

このように会社のお金の動きを記録をすることで、会社の利益が分かるようになります

ケン
ケン
簿記は、会社版の「家計簿をつけること」ということを理解しましょう。

基本知識2:決算書作成までの流れ

①お金や物の出入りを認識する
②1つずつ記録をする
③記録したものをそれぞれ合計する

決算書を作成するまでの流れはざっくりこの流れです。

①:お金や物の出入りを認識する

たとえば、あなたが従業員50人の会社の経理だとします。
営業の人がものを売って取引先から売上が入金されたり、購買部の人が材料を買ってきたりと色々な取引をしています。

会社の取引は1ヶ月で非常に多く、お金も動いています。
まずはこれらの情報を1つ1つ集めていくことから始まります。

②:1つずつ記録をする

会社のお金の動きを認識できたら、それらを1つずつ記録していきます。
ちなみに、記録のルールは決まっているので、そのルールに基づいて記録することが必要です。

このルールを覚えるのが、簿記の勉強です。
ルールについては「基礎知識3:複式簿記の考え方」で解説します。

③:記録したものをそれぞれ合計する

記録したものを合計していったものが決算書です。
こちらもまとめ方のルールがあります。
それぞれの会社が違う方法でまとめていると、どの会社が儲かっているのかを比較することができなくなるからですね。

基本知識3:複式簿記の考え方

複式簿記とは、1つの取引を2つの側面から考えて記録することです。

先程のパン屋さんのケースをもう一度見てみましょう。

【パン屋さんのケースの取引の側面】
側面①:現金を100円もらった
側面②:パンを売り上げた

もう一つ例を出すと、銀行から30,000円を借りたという取引の場合です。

【銀行から30,000円を借りた場合の取引の側面】
側面①:借金が30,000円増えた
側面②:現金を30,000円預かった

このようにどのような取引も2つの側面から成り立っているという考え方で記録をするのが、複式簿記という考え方です。

1.簿記の目的は、会社が儲かっているのか損をしているかを把握すること
2.決算書作成の流れは「認識→記録→ルールに基づいて合計する」
3.どのような取引にも2つの側面がある(複式簿記)

簿記の基本用語:特に重要な3つの用語を解説

基本用語1:仕訳

仕訳とは、二面性を持つ取引を借方の要素と貸方の要素に分解する作業のことをいいます。
例えば先程のパン屋さんが、「パンを売って、現金を100円もらった取引」の場合は、

(借方)現金 100 / (貸方)売上高 100

というふうに記録(仕訳)をします。
左と右に書いてある文字は、借方(かりかた)と貸方(かしかた)と呼びます。

【借方・貸方に記載するルール】
借方:費用や資産の増加が発生したもの
貸方:収益や負債・資本の増加が発生したもの

このように、二面性を持つ取引を借方の要素と貸方の要素に分解する作業のことを仕訳と呼ぶのです(複式簿記)。

基本用語2:勘定科目

勘定科目とは、会社の取引による資産・負債・資本の増減、および費用・収益の発生について、その性質をわかりやすく記録するために必要な分類項目の総称のことです。

簡単に言えば、家計簿でつけている「通信費」や「水道光熱費」のようなものです。

家計簿で出費の種類を分けて名前をつけて、項目分けをしているように簿記でも項目訳を行います。その項目の名前を勘定科目というのです。

勘定科目の例は例えば下記のようなものがあります。

・資産:現金、預金、商品、建物
・負債:未払金、借入金
・資本:資本金
・収益:売上高、受取利息
・費用:仕入高、通信費、水道光熱費

基本用語3:損益計算書

このあたりから、深く入りすぎるといけないので、最初はなんとなくの感覚を掴んでいただければ問題ないです。

損益計算書とは、ある期間の経営成績を表す決算書類です。
実際の具体例を見てみましょう。

上記の損益計算書サンプルでは、「2020年1月1日~2020年12月31日」までの、会社の利益を表しています。

まずはじめに覚えるべきは、利益の種類が5つあるということです。
その中でも特に重要なのが「売上総利益」と「営業利益」です。

売上総利益とは、会社の売上高から売上原価を差し引いた利益のことです。
売上原価とは、ざっくりいうと、「売れた商品の仕入れたときの金額」です。

この仕入れたときの金額には材料費なども含まれますので、パン屋の場合にはパンを作るのに必要な小麦粉の仕入高も売上原価に含まれます。

営業利益とは、本業の利益を表す数字です。
具体的には売上総利益から販売管理費を差し引いた金額です。

販売管理費とは、販売活動に必要な費用のことです。
例えば、パンを売るためには店舗が必要ですので、店舗の家賃も販売管理費です。

・損益計算書は、ある期間の経営成績を表す。
・利益の種類は5つあり、会社経営上重要なものは「売上総利益」と「営業利益」である。

基本用語4:貸借対照表

次に貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)について説明します。
貸借対照表ある時点の経営状態を表す決算資料になります。

実際の具体例は下記になります。


貸借対照表では、「ある時点の経営状態」すなわち「会社の健康状態」を確認することができます。

このときに重要なのは、左側(借方)と右側(貸方)の合計金額が一致していることです。

また、左側と右側で下記のような意味を表しています。

左側(借方):会社の事業へのお金の使いみち(運用
右側(貸方):どのようにお金を集めてきたか(調達

貸借対照表を見て会社の健康状態を確認するには、この観点(運用と調達のバランス)が非常に重要です。

上の例だと、会社を経営するために借入金で2百万円、自己資金で4百万円を調達した上で、建物で4百万円、車で1.2百万円を購入しているということがわかります。

つまり、会社の健康状態を見るには、貸借対照表の右側(貸方)を見て、どれくらいを自分の手許からのお金で賄って経営を行えているのかを確認すればいいですね。
※借入金が多すぎると健康状態はいいとは言えません。

・貸借対照表はある時点の経営状態を表す。
・貸借対照表は借方合計と貸方合計は一致する。
・借方はお金の使いみち、貸方は調達の方法が記載。

簿記の基本問題_実際に仕訳をしてみましょう

【借方・貸方に記載するルール】
借方:費用や資産の増加が発生したもの
貸方:収益や負債・資本の増加が発生したもの
※それぞれが減少した場合には逆側に記載をします。

改めて仕訳のルールの確認です。
まずは貸借対照表を思い出してください。
左(借方)には資産、右(貸方)には負債と資本が記載されます。

仕訳をする際には、どの勘定科目が増える(もしくは減る)取引なのかを考えます。
勘定科目が増えた場合には、貸借対照表と同じ方向に記載をします。

例)机を2,000円の現金で購入した。

机は資産に分類されますので、資産の増加です。
貸借対照表では、資産は借方にあるので、借方に記載します。

現金も資産に分類されますので、資産の減少です。
貸借対照表では、資産は借方にあり、減少しているので、逆の貸方に記載します。

よって、回答は、「備品 2,000円/現金 2,000円」となります。

上記の通りです。
この仕訳をする際の考え方は、簿記を知っていく上で最も土台となる重要な知識になるので、時間をかけてでもしっかり理解をするようにしましょう。

 

ここからは、いくつか例題を準備しております。

問題
【例1】500,000円の車を現金で購入した。
【例2】銀行から100,000円の融資を受けて預金に振り込まれた。
【例3】30,000円の売掛金を現金で回収した。

考えてみてください。

 

解答は下記の通りです。

解答
【例1】車両運搬具500,000円/現金500,000円
【例2】預金100,000円/借入金100,000円
【例3】現金30,000円/売掛金30,000円

ここから解説となります。

例1
・車が増えた→資産が増えた→借方に記入
・現金が減った→資産が減った→貸方に記入

例2
・預金が増えた→資産が増えた→借方に記入
・借金が増えた→負債が増えた→貸方に記入

例3
・現金が増えた→資産が増えた→借方に記入
・売掛金が減った→資産が減った→貸方に記入

いかがでしたでしょうか。
仕訳を行うステップは下記の通りです。

ステップ1.何が増えたのか、減ったのかを考える
ステップ2.ルールに基づいて借方・貸方に振り分ける
ステップ3.勘定科目として記入を行う

多くの問題を繰り返して解いていくことで、借方と貸方への振り分け方を習得することが大事です。

まずは、簿記3級の問題集などで簡単な仕訳から学習をするようにしましょう。

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【経歴】銀行→コンサル 【資格】中小企業診断士/行政書士/宅建士/FP/簿記/銀行業務検定 他。 資格のおかげで人生を好転できた経験から「資格を通じて人生を豊かにする」を伝えていきたいです。 プロフィール詳細はこちら